10人が本棚に入れています
本棚に追加
/18ページ
ボクが驚き、何て答えていいのか困っていると女性はふとボクの頭の上に浮かんだ名前を見て、小さなため息をついた。
「……ミコと言うのか。」
待っていた人は違うことがショックだったのだろうか……
感情を抑えた声になり、瞳も先ほどまでの期待の光は奥に潜みただ深い海の底の色を打つだけになった。
「私は……レイ。はじめまして。」
先ほどの自然な表情からまるで作られたような笑顔を彼女は浮かべた。
最初見かけたときは気が付かなかったが、彼女の頭の上には『レイ』という名前が浮かんでいる。
だけど、なぜかその名前はしっくりこない。
この女性には別の名前があるような気がしてならないが、全く思い出せない。
……思い出せない?
自分の中で小さな違和感を覚える。
モヤモヤした何かが胸の中に広がっていく。
「おい!ミコ、勝手に動くなと言っただろう!」
ハセさんの声が聞こえ、ボクは我に返った。
最初のコメントを投稿しよう!