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『そういうハセさんは仕事はどうしたの?』
「残業のしすぎだからいい加減、家に帰れと上司に言われてここに来た。」
瞳と同じ少し色素の薄い茶色い前髪をうっとおしそうに掻き分けながら、ハセさんは呟いた。
そういえばハセさんはよく家に帰りたくないと、ボヤいている。
ゲームをしている時も休憩時間に顔を出しに来たとか言って、会社からログインしているらしい。
家に帰りたくないから、帰宅したふりをしてゲームの世界に来たのかも。
『はぁー。相変わらずハセしゃんは社畜道まっしぐらやね。ミコはこげん大人になりよったらいかんばい。』
やれやれと大げさにため息をついたヒロシをハセさんは呆れた顔をして見た。
「お前もミコのことを言えないぞ。ヒロシ」
―――あれ?
いつもならこのぐらいのタイミングで早く狩りに行こうと怒り出すナデシコの姿が見当たらない。
二人が言い争いをしている間にキャンプ場の周りを見渡してみたが、鳥の鳴き声の音声が聞こえるだけでボクたち3人以外の声はしない。
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