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ある屋敷に、美しい機械人形の青年がいた。
彼の名前はエリオット。
夜色の髪に、月色の瞳。彼を目にした者は誰もが振り返り、その光景に目を見張り、感嘆のため息をついてしまう程の美貌。
そんな彼は、とある目的のために造られた――それは、青年を生み出した男の孫を助け、寄り添うこと。
彼は非常に優れた能力を持っていた。
ありとあらゆる技術を持ち、広い知識は学者をうならせ、身体が老いることはなく、何をしても壊れず、燃料の心配もいらない。
さらには人のような感情の機微すら持ち合わせていた。
けれど、彼は完全ではなかった。
一つ。彼の肌は、どれほど温めようとも人形のように冷たいままであった。そしてもう一つ。
――彼には感情があったが、涙を流すことができなかった。
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