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「好きです」「付き合ってください」「私の彼氏になってください」。  秘めた恋心を打ち明ける言葉は数多のパターンがあるけれども、17年間の人生で俺はそのあらかたをコンプリートしてきたと思う。この町の至る所は告白の記憶で固められている。  駅も学校も公園も、変哲のない通学路でさえも。その場所を通り過ぎるたびに彼女たちのことを思い出す。今、どこにいてどんな男と付き合っているのかも知らない彼女たちのことを。  そして、またこの瞬間も昨日告白してきた後輩のことを思い出していた。艶やかな黒髪と透き通った肌が綺麗だった。告白は丁重にお断りした。彼女に限ったことではない。今まで告白してきた女子は皆振っている。  理由はシンプルだ。どんなに魅力的な相手でも俺は付き合うつもりがないから。  
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