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   一つの恋を自分の一言で終わらせる。その行動の後は、ほんの少しだけ心がふさぐ。昼休みの賑やかさが鬱陶しく感じるのは、きっとそのせいだ。いつもなら友人と談笑する良いBGMなのに。  隣に座る友人の上尾(かみお)はかぶりついていた焼きそばパンを机に置いて口を開いた。 「また告られたんだろー本当に羨ましい限りだぜ。オレも(ゆう)みたいにモテてぇな……なぁ、どうやったらそんなモテるわけ? 教えてくれよ」 「…………モテ方って教えるものじゃないと思うけど」  俺は苦笑しながら購買で買った鮭おにぎりをかじる。上尾はジト目で睨んでくる。 「そんなセリフ、イケメンでモテてるから言えるんだろ。マジ恨めしぃ……」 「モテるのに誰とも付き合わないんだから、ホント罪な男だよね。振られた子がかわいそうだわー」  うんうんと頷く女子。栗色の長い髪、ぱっちりとした目。隣のクラスの山瀬だ。いつの間に現れたんだろうか。さっきまでいなかったのに、普通に俺たちの会話に入り、そして馴染んでいる。  俺と上尾と山瀬は一年生のとき、同じクラスでよく話す仲だった。その名残でときどき山瀬は女友達数人を引き連れてうちのクラスにやってきていた。山瀬の側には派手やかな女子たちがいる。キャッキャ笑う声が少し耳についた。  彼女らは青春に恋に友情に、学校行事は全力で楽しんで勉強はそこそこできるレベルの生徒。たまに遅刻したり、学校をサボって遊び歩いたりする。もっと簡単に言えば、ときに「リア充爆発しろ」と恨まれるようなタイプの人間。
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