プリン泥棒?

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プリン泥棒?

おかしい…。 確かにおととい買って冷やしておいたはずなのに。 冷蔵庫のプリンがなくなっている…。 恭子はあらためて冷蔵庫の中を眺めた。 料理も大してしないから、食材もほとんど 入っていない冷蔵庫の中で 大好きなプリンを見失うはずがない。 プリン泥棒…? コンビニで買ったありきたりなプリンだけを 狙うコアな泥棒…? …せこっ!どんな泥棒なのよ。 子供の時から好物のプリンは大人になった今も 疲れた時や嫌なことがあった時の癒しだった。 今日はホントに食べたかったのに…! 「…コンビニいこ…」 失意のまま、恭子は財布を掴むと玄関に向かった。  今日はホントにプリンを楽しみに帰ってきたから それだけダメージが大きかった。 いったん外に出て歩き出したが、 3月初旬の夜は思いの外、肌寒い。 トレーナー1枚じゃ寒かったか…。 「上着…」 恭子は降りかけた階段を戻り、 部屋の鍵を開けて中に戻った。 「あれ…?閉め忘れたっけ…?」 閉めたはずの冷蔵庫のドアが 10センチくらい開いていて、中の灯りが漏れていた。 ヤバい、ヤバい… 何気にドアを閉めようとして  何かをドアに挟んだ。 「いててててて…」 小さいけれど、声がする。 え?何…?? おっかなびっくり冷蔵庫のドアを開けると 恭子が挟んでいたのは見知らぬおじさんだった。 しかも、ものすご〜〜くちっちゃな おじさんだったのだ…!! 「きゃああっっ!!」 「うわあっ!」 恭子の叫び声におじさんも驚いて声をあげたが その声も小さかった。 「あ、あんた、だれ…??」 「わし?わしは妖精ぢゃ」 「妖精…!?妖精って可愛い女の子じゃないの?」 「おまえ、ディズニーファンか? …んなわけないだろ。妖精といえば みーんなおっさんぢゃ」 「ええええ〜っ!!」 やっぱり疲れてるのかも、私…。 変な幻覚を見てるよ、マジで(焦) 「幻覚ぢゃないぞよ」 うわ…心の声が漏れてたのかな… 「人の心が読めるんぢゃ、わしは」 えっへん、と胸を張るおじさん。 「すごいね、おじさん…」 「おじさんぢゃないぞよ」 「え?どう見てもちっさいおじさんだよ」 「ヨソプぢゃ。妖精ヨソプ」 「自分で妖精とか言うんだ」 「うるさいぞ、人間」 「私も名前あるんだけど?」 「なんじゃ?」 「恭子。人間恭子」 にんげんきょうこって… 妙に可笑しくなった恭子は笑ってしまった。 ヨソプもつられて笑っている。 「あ、そうだ…。ヨソプでしょ? 私のプリン食べたの」 「えっ…えーっと…」 「妖精はウソついていいの?」 「…すまん。好物でつい…」 「好きなんだ?プリン」 なんか…かわいい(笑) 「お詫びにわしが作ってやろう」 「え!?プリンを??作れるの??」 「簡単ぢゃ。卵と牛乳と砂糖があれば」 「それだけで出来るんだ〜」 「だからプリンは買いに行かんでもええぞ」 「寒いし、そうするよ」 プリン食べてないのに 朝からずっと続いていたイライラが すっかり収まってる…。 この太っちょ妖精とのやりとりに 救われてるのかも…。
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