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一番最初は多分もうすぐ中学に上がろうかという 頃…… その時の夢は覚えていない。 かあさんに聞いても、中々部屋から出てこない私を起こしにいったらベッドの中で唯々涙を流していた と。何を聞いても首を振るばかりでその日は学校を休んだ。 そして忘れた頃に又夢を見る。 華やかな女性を傍らに歩く男を見ている女の人がいた。 ああ…この人はあの男の人が好きなんだな… 男の人を見る目が潤んでた… 寒い雪深い地方でゴザを頭から被りわら靴を履きその男の人と楽しそうに寄り添う女の人…でも暖かくなり、また深い雪が戻ってきた時女の人は侘しい小屋で一人泣いてた。 夢は広がっていった。 山間の小さな村で一緒に育った二人 兄弟も増え二人村を離れ町に働きに出る。心許ない二人が手を携え家族の為に頑張る…女の人は旅館の下働き、男の方は商家の丁稚 奉公。 男はタッパもあり顔も今でいうイケメンで、その主人の娘に気にいられた 。本来の頭のよさもあり主人から読み書き算盤商いのやり方を教えられ、商家の婿として迎えられるようになった。男が成功の階段を上るのだと知った時喜んだ女の人はあとに続く商家の娘との縁組みにうち萎れた。男とは寒い夜に肌を重ねたこともあった。けれどなんの約束もした訳ではなかった。ただその流れのままに男と添い遂げると思っていた。よくもこんなにも涙が出ると思う程涙が止まない… 来春には奉公も明け村へ帰る。でも でもそこに男はいない…どうやって、どうやって生きてゆくのか、生きてゆけるのか… 気がつけば川の水に足が漬かっていた… 涙がひたひたと流れ枕をぐっしょりと濡らしていた。その涙は女の人に同情しての涙ではなかった。男に裏切られ胸が張り裂けそうな悲しみと切なさで私は身悶える。 私が中学3年の時だった。 あの人は私なのだ。あの悲しみは私が味わったものだ…
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