3人が本棚に入れています
本棚に追加
夢の男
これはなんだろう…
歓迎会では一緒のテーブル、ゲームをすれば一緒のチームで組まされる~
なるべく口を訊かなくていいように他の人に話しかけて…その日を終わらせた。
平常通りに過ごそうとしてるのに、エレベーターに乗れば一人壁に凭れてる彼がいた。近づきたくない、近づいてほしくないのに…
意識したくない…なのに彼が女子社員と話してる姿がすぐに目に入る。彼の噂がすぐ聞こえてくる。
……やだ…やだ…どこかに行って…
それがピークに達しようかという頃…
ある雨の日、傘はあるけどもうタクシーで帰ろうと乗り場に向かった時
「送るよ」
誰かが私の腕を掴んだ。
…な…に?……なに……?
あの人が…私が雨にかからないように上着を私の頭から掛けて車まで連れて行く。
車がスタートする。
どこに行くのか…
「…あの…」
「アパートこっちだったよね」
え…アパート…
言われてみれば見覚えのある……
アパートのすぐ横で車が止まる。
「君は僕を知ってるの?」
え…
「おかしな話だけど、僕は初めて君を見た時とても懐かしい感じがした」
「君も僕を意識してる風に見えた…けど君の目はいつも泣きそうで…僕は知らないで君に何かした?…」
首を強く振る…
「僕は君の笑った顔が見たい」
思わず彼の顔を見上げる。
少しずつ近づく彼の顔を見ながら私の唇に彼のそれを感じた…
馬鹿なわたし…馬鹿なわたし…
また…同じことを繰り返すのか…
でも悲しい程に高鳴るこの鼓動は私の気持ちそのもので…
それに従えと躰の奥………私の中に眠る女たちが叫ぶ…この男が好きだ…この男に抱かれたい……と。
最初のコメントを投稿しよう!