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夢Ⅱ
「…すみませんでした」
思い切り泣いて落ち着いた私からその腕が離れていった。
「家まで送ります」
「いえ、もう大人しく帰りますから」
「…送らせて下さい。あなたと少し話しがしたい」
小さく頷く。
結婚式帰りでドレスの私とフォーマルを着た椎名さんがゆっくりと歩きだす。
この人は私と彼との事を知ってるんだろうな…だから私を心配して
…
「ぼくは小さい時からよく夢を見ました」
えっ…
「いつも同じ夢で…」
…まさか……
「突然女の人が目の前で川に飛び込もうとしたり、橋から身を投げようとしたり…」
え…
「男の人がいつも彼女を助けるのに必死で…大きくなるにつれて、ああ…この男は僕なんだな、と気がつきました」
…う……そっ……
「場所や時代が違っても、彼女はいつも死にたがり僕は必死で助ける」
………………
「高校生の頃…もしかしたらこれは現実に起こることかもしれないと思いました。僕はその彼女を助ける為に体を鍛えようと思いました。可愛いでしょ…フフフ…
でも僕は鍛えても筋肉がつきにくい質だと言われて、でも、それでもしないよりはと僕に似合わないジムにずっと通い続けました」
優しく笑って私を振り返る人…
「ね、さっき、その成果があったでしょ」
私の喉がごくんとなった。
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