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生きていたんだ……私はあそこで
終わっていたと思っていた…しかもこの人に助けられて…
「…あ…」
椎名さんが笑う。
「彼女は天寿を全うしますよ。沢山の孫に囲まれ、又はパートナーと寄り添い仲間に恵まれ…」
…そうなんだ……
「あなたの夢はそこまで続くの?」
「…そうですね」
「…え、でもどうしてあなたが私の夢を見るの」
「…どうしてだと思います?」
「……え…」
「僕は中学の頃、この夢に入り込めないかと考えました。僕の夢は女性を助けた所から始まるのです。彼女は前のことを何も話さない。どんなに辛そうに悲しそうにしていても、僕には何も出来ない…でもこの夢の中にはちゃんと僕と繋がった男がいるのだから、彼の目で耳で彼女の情報を収集しようと思いました」
「………夢に入る…」
………………………
「……私も…夢を見てました」
「……どんな夢か聞いていいですか?」
「恋人だと思っていた男の人に裏切られて、生きてゆくのが辛くて…」
「…そう…あの夢はリアルだから…そのまま心にくる…辛いですね」
「何度も何度も繰り返される夢に疲れて…眠るのが恐かった…それが3年前就職した頃から夢を見なくなった……ほっとしていた私の前に…彼が彼が…夢の彼が現れて、近づきたくないのに私の心とは裏腹に彼との距離が近づいて…」
「…あなたは嬉しかった…ですか?」
………………………
小さく頷いた。
椎名も静かに頷いた。
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