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「今日から3週間、教育実習でお世話になる、如月鞠佳です。担当は国語です。よろしくお願いします」
教育実習生として戻ってきた母校。その風景は、5年前の現役時代に感じていたものとはほぼ変わらなかった。
初日、朝のSHRで、お世話になる担当の先生が受け持つクラス、2年3組への挨拶をする。そして緊張しながらもそれを終え、彼を目にしてしまったわたしは、いとも簡単に射抜かれた。
あんなに顔が整ったひと、今まで生きてきた中で見たことなんてない!!
一度心臓をつかまれたら、思いは止まらなくなって、わたしは本人に気づかれないよう何度も何度も観察した(もちろん、教育実習生としての役目を果たしつつの範囲だけれど)。
彼は、奥二重に近い、一応は二重まぶたの塩系顔で、整った眉。鼻筋も通っていて、上下ともに薄めの唇。高校2年生とは思えないほどの色気すら感じた。
顔もいいけど、それを引き立てる髪型も最高だった。抜け感のあるアッシュグレーに、ウルフカットのアップバング(後で調べたときに知った)。キメキメだけど、たまらなく絶妙で、わざとらしくない。
制服も校則に引っかからない程度にしっかり着こなしていて、さらに、ときどき彼を照らす日差しは神々しさを増長させた。
そんな罪深き顔の持ち主と同じ空間で、期間限定でも日常を送れるなんて、神はいったいわたしになんの試練を与えたのだろう。
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