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ムリだ。もうムリ。耐えられない。
神様は、わたしに試練をお与えなのでしょうか。
実際にこういう状況になってわかった。
妄想は、しょせん妄想でしかないのだと。
これは、普段まじめにこつこつと生きてきたわたしに対するご褒美なんかじゃなくて、いかに自然に、気づかれないように相楽くんを見つめるのかを考え、実行しすぎたわたしへの罰なんだ。
はぁ、この顔を見られなくなるのはとても惜しいけど。
ここは、ひとつ……
「いいですよ。教えられるとは思いませんけど、見張りくらいなら」
な、なに言ってんの、わたし。
変なこと口走ってる、この口をだれか止めて。
「よかった。本当にありがとう。これでひとまずは安泰だ。先生からも何か礼をするよ」
「あ、じゃあ高級アイス奢ってください。コンビニでいちばん高いの」
「そうか。わかった。それはあいつに渡しておくよ。きちんと課題をクリアできたら、評価もアップしてやるから」
えっ、よりによってあいつかよ。まぁ、仕方ないか。
それより、わたしもゲンキンだなぁ、高い値段のものとはいえたかがアイス1個でこんな大変なもの引き受けて……
この、この口めっ。
自分の首を絞め殺すつもりかっ。
でも……
わたしと先生のやりとりをぼんやり眺めてる相楽くんが、チラッと視界に入ってきて。
はぁ、その顔、さいこうすぎでしょ。
「よろしく。せんせー」
「よ、よろしく……」
わたしは、しばらくこの最強の顔面の彼に翻弄されることになるのでした。
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