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これって、何のためになるんですか?
その日の放課後になって、わたしは先生から呼び出しされた。
SHRを終え、2年3組の教室から実習生の控え室となっている放送室にまっすぐ向かうことを許されなかった、ということだ。
まぁ、あの放送室が居心地のいい場所では決してないけれど、これからのことを考えれば、何倍もマシだよ。
ついてきてと言われて、向かった先は資料室と、印刷室。
「……こいつを、またコピーするときがくるなんてな」
テキストをコピーしながら、先生はボソッと呟いた。
「そう、ですね。先生って、本当に変わらないんですね」
いじわるなところが、と言おうとして、ぎりぎりのところで口をつぐんだ。これ以上、わたしに何か不利益なものが降りかかるのは避けたい。
「そうだな。変わらないけど、如月たちがこうして教育実習に来る前は変わってたんだよ。まぁ、まさか、同じタイミングであいつも一緒にとは思ってなかったけど」
「わたしだって、あっちが高校卒業したら、もう関わることはないと思ってたんですけどね……」
「そうは言わずに、仲良くしてくれると助かるんだけどね。先生としては」
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