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見上げる理由
「誰だよ、誰なんだよぉ!!!」
自室の机をバンッと叩き、優斗は大声をあげる。机の上にある紙はフワッと浮き上がるだけで、何の答えも示さない。
優斗の通う高校で起きた殺人事件。もとい、警察は自殺で処理しようとしている事件。
「自殺なわけないんだよ!誰かが、殺したんだ。自殺に見えるように殺したんだ!」
机の上にある紙に記載されてる捜査資料を熟読する。しかし、読めば読むほどにこの事件は自殺にしか見えてこない。
「あー!クソッ!クソッ!!!!」
優斗はその紙をクシャクシャに丸め、壁に向かって投げつける。丸めた紙は壁にまで届くことなく、途中で床に落ちて、コロコロと転がって床に当たって止まった。3日間かけても未だ犯人どころか、6人の容疑者を絞ることすらできていないことに焦っていた。考えることができるのはあと2日しかなかった。
優斗は深いため息をつき、床に仰向けに倒れ込み、見慣れた天井を見上げる。5年前に越してきたときは真っ白だったこの天井も今ではすっかり汚れて、時間を感じさせた。
「あ、あんなとこにシミができてんだな。」
警察および、学校関係者は皆、自殺だと考えるこの事件。優斗だけが殺人事件だと知っていた。化学教師の笑山(えみやま)が誰かが殺されたことを。
「絶対誰かが、誰かが殺したんだ。
だって…
俺が殺してくれって依頼したんだから。」
暗殺ゲーム:依頼者のターン
終了まであと48時間。
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