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おかしい。節分はもう10日も前に終わったのに。
しっかり「鬼は外ーっ!」って、掛け声しながら外に豆を撒いたのに。
「優奈ちゃん、ご飯のおかわりは?」
「あ、はい、お願いします」
何故か私の家には鬼が居ます。
でも普通の服を着ているし、なんならエプロンしてご飯作ってくれて、その他の家事とかもしっかりこなして、…めちゃくちゃ主夫感満載なのだけど…。
それでも、頭には鬼の角が2本、しっかり生えている。
大学生で一人暮らしをしている私にとって、家事をしてくれるのはとてつもなく有難い事なんだけど…いや、鬼!!
10日目にしてこの状況に慣れてきた自分が恐ろしいわ!
おかしいよね、普通に。
だって鬼だよ!?桃太郎とかで見るあの鬼だよ!?
…もはやなんのジャンルだよ、鬼って。
もっとこう恐ろしいモノなイメージだったんだけど…。
「優奈ちゃん?大丈夫?そろそろ時間だよ?」
「はっ!やばい!急がなきゃ!」
「行ってらっしゃい、今日の晩御飯はハンバーグだよ」
「ハンバーグ大好き!行ってきます!」
でも…、ご飯美味しいし、至れり尽くせりだし…もう少し現実逃避しておこう。
彼が何者なのか、いや鬼だけど。
何処から来たのかとか、なぜうちにずっと居るのかとか、聞けないでいる。
なんか聞いてしまったら居なくなってしまう気がして…。
それはそれで…寂しいし…。
だからこの不思議な同居生活、もう少し楽しもうと思う。
「ハンバーグ楽しみー!!今日も頑張るぞー!」
fin
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