魔王様、ひきこもる。

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 ***  生放送は、大盛況。  それぞれ別のテレビ局から、自分達のレギュラー番組にも出てくれないかと“ゆうぶか”にオファーが来たほどである。  魔王様も興味を持ってくれたようで、勇者いわく“天岩戸状態”の部屋から出てきてくれ、氷河期状態の世界の気温も一気にマシになった。ちなみに、彼が引きこもった理由は“勇者が自分に逢いに来てくれないからスネていた”ということだったらしい。自分のところに来るまでに死んでたらどうしよう、と心配していたそうだ。いや、魔王に心配されるほど仕事しない勇者ってどうなんだ、と思うが――生放送で図らずして無事をアピールできたので、それは良かったと思うことにしよう。  これで一件落着、ハッピーエンド。そう思っていたのだが。 「おい、勇者……どうしよう」  その一年後。  再び、魔王様のひきこもりが発動。 「また魔王様、城を氷漬けにしてくれやがったんだが。……今度は、好きな女優が結婚してロスになったかららしい」 「……可愛い女子勧誘して、ドラマでも作るか」 「……悪いな、マジで」  世界征服、一向に進む気配ナシ。  当面は、勇者と魔王の部下で結託して、魔王様を宥める日々が続きそうである。
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