『オンラインうんこ』の存在

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『オンラインうんこ』の存在

 美青年のキャラクター達がこんな会話をしていることへの違和感は笑いのツボを刺激して、毒島は思わず吹きそうになる。 「“オンラインうんこ”って何?」 「ベノムさん、知らないんですね」 「そんなバカらしいもの、聞いたことが無い」 「ネットニュースやSNSでは話題になっていますよ」 「ゲームばっかで全然そういうの見ないからなぁ。それってどんなもの?」 「僕達みたいなオンラインゲームのヘビーユーザーは、トイレに行くのって物凄く面倒じゃないですか」 「面倒だね。一回トイレに行っている時、光軍に城壁を攻められて突破されてから嫌になった」  クロウは笑った。毒島が笑うと、ベノムも微笑んで、 「それで、オンラインうんこって何?」 「簡単ですよ、オンラインでうんこが出来るんです」  ぷっと吹くベノム。笑いを堪えながら、 「自宅のトイレで出来るでしょ?」 「でもトイレって行きたくないじゃないですか」 「そうだね。特にうんこは嫌だね。時間掛かるし」 「だからずっとパソコンの前に居ながら、オンラインでうんこが出来るのって凄く便利なんですよ」 「クロウさんも使っているの?」 「使っています。おかげで飯も喰わなくて良いし、トイレに行かなくて良いから、お金も時間も節約出来てゲームに集中出来ます」 「飯も喰わなくて良いの?」 「はい。給電するんですよ、自分に」 「どうやって?」 「足とか腕とか、身体の何処でも良いから布を巻くんです」 「シックスパッドみたいな?」 「そうです。あれは筋肉を鍛えるためのEMSですけど“オンラインうんこ”の場合、布がUSBの電源コードと繋がっていて電流を人体のカロリーに変換することで飯を食べなくても生きられるようになるんです」 「飯を食べてないから、当然うんこも出ないというわけか」 「味気無いのが嫌なら、普通に食べ物を食べても良いんです」 「でも老廃物はどうするの?」 「今度はその老廃物を排出するためのUSBコードをパソコンに繋ぐんです。人間の老廃物をパソコンがジャンクファイルに変換して体外に出すんですよ。老廃物って物凄い情報量なんで、パソコンのストレージが10TBあってもすぐにいっぱいになってしまいます。それをオンラインうんこの公式トイレに転送することで排泄が完了されるんです」 「ってことは、USBコードを自分の身体に2本繋げるんだね?」 「そうです。自身に給電するコードを1本、老廃物を転送するコードを1本って感じですね。普通にご飯を食べたいなら、老廃物を転送するためのコード1本だけで十分って感じですね」 「Wi-Fiでは出来ないの?」 「Wi-Fiでも出来るんですけど、さっきも言ったように老廃物をジャンクファイルに変換すると物凄い通信量になるんで、Wi-Fiが繋がりにくくなるんですよね」 「だから、USBの方が良いってわけか」 「そうです。1日分のうんこ辺り約1TBのストレージを消費するんで、パソコンじゃないとちょっと厳しいですね」 「ちょっと待って。思ったんだけどジャンクファイルって普通に自分のパソコンで削除しちゃダメなの?」 「削除しても大丈夫ですよ。ただ、オンラインうんこの公式トイレにそのジャンクファイルを送るとポイントが貰えるんです」 「ポイント?」 「皆、そのポイント欲しさに公式トイレに自分のジャンクファイルを送るんです。ファイルの拡張子は.unkoだから『うんこファイル』って呼ばれていますよ」 「僕もやってみるか」
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