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価値なき肉体
目を覚ますと、毒島はベッドで横になっていた。
『オンライン.unko』と同じように、毒島の右腕に点滴のチューブが繋がる。
「あれっ、俺は?」
「気が付いた?」
男性の医者と女性看護師が立った状態で、仰向けの毒島を見守っている。
「病院? なんで」
医者は呆れた表情で、
「栄養失調で倒れたんだよ」
「俺はずっと電気を身体に入れて」
「あれは身体にカロリーを与えるだけ。人体で作り出せないビタミンやミネラルはちゃんと普通の食事で摂取しないといけないんだ」
「そんな!」
「『オンライン.unko』の取扱説明書にもちゃんと警告が書かれているじゃないか。私も使ったことがあるから知っているんだ」
返す言葉を失う毒島。
「しばらく休んでなさい。何日か入院だ」
その場を去ろうとする医者と看護師。
「あの先生!」
「なんだね?」
「俺、白血病の女の子のためにドナーになりたいと思っているんですが」
「そんな身体じゃ無理に決まってるだろ!」
医者と看護師は病室から出て行った。
誰も居なくなった病室で、毒島は天井を見つめながら一人呟く。
「ゲームしたいなぁ……」
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