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第4話 契約
ぐすぐすと鼻を啜る私に、セイル様がハンカチを差し出してくださいます。
私は申し訳なく思いながら、涙と鼻水をハンカチで拭きました。
人のハンカチを使うなど初めてのことですけれど、下ろしたてのハンカチのようでしたので、それほど抵抗はありませんでした。
「も、もう大丈夫か? シチューのおかわりとか持ってくるか?」
「ふふ、もう大丈夫ですわ。取り乱してしまってすみません」
「そうか。なら良いのだが……」
セイル様の持ってきてくださったたくさんの物に囲まれて、私の心は決まっていました。
ハンカチを握りしめ、私は、一つ息を吐いて言葉を紡ぎます。
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