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セイル様は自分の親指に歯を立て、血を出しました。
私はどうしたらと戸惑っていると、セイル様が爪を尖らせ、私の親指にも小さな傷を付けてくださいました。
私たちはお互いの親指を重ね合わせ、血を混ぜ合わせます。
セイル様にも心臓はあるのでしょうか。
とくとくと、いつもより早い鼓動が、私だけのものだったとしたら、少し恥ずかしいなと思いました。
セイル様が聴き慣れない言葉で何やら呟くと、触れ合っている場所が一瞬光り、私の中にセイル様の気配を感じます。
触れ合っていた親指が離れても、それは変わりません。
「できたぞ。これで我らは繋がった」
「不思議な感覚です」
「うむ、オレ様の中にもお主の魔力が感じられるぞ。確かに奇妙な感覚であるな」
誰よりも、何よりも深く繋がっている感覚。
これは、悪魔の罠なのでしょうか。
こうして人間を虜にしてしまうとか。
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