第4話 契約

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 セイル様は自分の親指に歯を立て、血を出しました。  私はどうしたらと戸惑っていると、セイル様が爪を尖らせ、私の親指にも小さな傷を付けてくださいました。  私たちはお互いの親指を重ね合わせ、血を混ぜ合わせます。  セイル様にも心臓はあるのでしょうか。  とくとくと、いつもより早い鼓動が、私だけのものだったとしたら、少し恥ずかしいなと思いました。  セイル様が聴き慣れない言葉で何やら呟くと、触れ合っている場所が一瞬光り、私の中にセイル様の気配を感じます。  触れ合っていた親指が離れても、それは変わりません。 「できたぞ。これで我らは繋がった」 「不思議な感覚です」 「うむ、オレ様の中にもお主の魔力が感じられるぞ。確かに奇妙な感覚であるな」  誰よりも、何よりも深く繋がっている感覚。  これは、悪魔の罠なのでしょうか。  こうして人間を虜にしてしまうとか。
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