第4話 契約

4/6
前へ
/94ページ
次へ
「オレ様、あまり人間と契約したことがないからな。詳しいことはよく分からんのだ」 「そうなのですか?」 「うむ、周りがどんどん契約して自慢してくるものだからな、オレ様も負けたくなかったのだ」  それで、あんなに必死だったのですね。  私はまたおかしくなって笑ってしまいます。  下唇を突き出して、拗ねるようにセイル様が私を睨み、それもまた可愛らしく思えてしまったのでした。  罠でもいい。  こんなに笑ったのは生まれて初めてなのですから。  セイル様が、誤魔化すようにフォークにケーキを乗せて私に差し出してくるのを受け入れながら、私は自分の選択に間違いはないと、そう感じていました。
/94ページ

最初のコメントを投稿しよう!

100人が本棚に入れています
本棚に追加