第4話 契約

5/6
前へ
/94ページ
次へ
 気付けば明かり取りの窓の外は暗闇に包まれていました。  小さく切り取られた空には、星の一つも見えません。  私は二階の洗浄をすることにしました。  セイル様は、大量に運んできてしまったものを地下に片付けてくれています。  食べ物などの傷んでしまうものは、後で地獄に持って帰るとおっしゃっていました。  塔の壁に沿って螺旋階段を登ると、塔の半分くらいを埋めるように部屋があります。  そこには粗末なベッドが一つだけ置いてありました。  私が洗浄を終えると、様子を身にきたセイル様が顔を(しか)めます。 「なんだこのベッドは。こんなものに寝てはお主の柔肌が傷付くではないか! 少し待っていろ」  セイル様は粗末なベッドを持って消えてしまいました。  そして、すぐに大きなベッドを持ってきてくださいました。  布団もふかふかで、太陽の香りがします。  ついでにと、椅子も一脚持ってきていて、それは一階で私が座る椅子なのだそうです。
/94ページ

最初のコメントを投稿しよう!

100人が本棚に入れています
本棚に追加