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「血や体液をもらうのが楽なのだ。痛いのは嫌であろう?」
どれくらいの血を流せばいいのかは分かりませんが、確かに唾液をさしあげるのが一番平和的な手段に思えてきました。
たくさんの血が流れるような怪我などはしたことがありませんから、どれほど痛いのか想像も付きませんけれど。
まだ、誰とも触れ合ったことのない唇。
これからもずっと、誰とも交わらぬものと覚悟していましたが、セイル様にならさしあげても、大丈夫。
「口付けで大丈夫ですわ! ……け、経験はありませんので、お任せいたします」
「そうは言うが、オレ様も初めてだからな。嫌だったりしたら教えてくれ」
「は、はい……」
セイル様も初めて。
そう聞いて、少し気持ちが楽になりました。
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