第5話 魔力供給

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 私が目を閉じると、セイル様が近付いてくる気配がします。  大きな手が私の腰と後頭部に回され、ぐいと引き寄せられました。  私はセイル様の胸元に手を置きます。  すると、セイル様が動きを止めました。  どうしたのだろうと目を開けると、すぐそばにセイル様の顔があって息が詰まります。  きめ細やかな肌、吸い込まれそうなくらい深く赤い瞳、色素の薄い唇。  どうしてこうも整っているのでしょう。  人間離れした美貌(びぼう)です。悪魔ですので、当然なのかもしれませんが。  私の顔は大丈夫かと不安になります。 「セイル様?」 「あー、その、手を置いたのは……拒絶の意思表示というわけではないのだな?」  私の置いた手を、そんな風に受け取っていたなんて。  こんなに優しい悪魔がいるでしょうか。  目の前にいるのですけれど。  緊張して張り詰めていた気持ちが、(ほぐ)れていくのが分かりました。
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