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全部綺麗に食べ終わると、セイル様はますます笑みを深くして、私を迎え入れるように両腕を広げます。
私は少しだけ唇を尖らせて形だけの抵抗をした後、セイル様の元へ歩み寄り、口付けをします。
魔力を渡さなくてはならい都合上、どうしても舌を絡ませることになるのですが、これには未だに慣れません。
私が躊躇うそぶりを見せると、すぐにセイル様の舌が私の中に入り込み、私の舌を絡め取ってしまうのです。
少しでも気を抜くとセイル様の魔力に溺れてしまうので、私は毎回必死に口付けをするのでした。
一度にたくさんの魔力を渡そうとするからあんなことになるのだと気付いて以来、私は日に何度もセイル様と口付けるようになりました。
それはそれで恥ずかしいのですが、あられもない姿を見せるわけにはいきませんから、我慢です。
段々と、その口付けを楽しみにしてしまっている自分がいることに、私は気付かないふりをし続けています。
心が読めるのなら、その辺りのこともセイル様には筒抜けなのでしょうか。
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