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その日はセイル様がクッキーと新しい茶葉を持ってきてくださいました。
私は井戸水をお湯にすると、丁寧に茶葉を蒸らします。
セイル様は地獄ではとてもお強いらしく、配下の悪魔たちも大勢いらっしゃるのだとか。
セイル様の口からそう言った話を何度か聞いていますが、普段の言動が可愛らしすぎてどうにも信じがたいです。
「こら! 本当なのだぞ! オレ様には二十六の軍団がついているのだからな」
「でも私には確かめられませんし……」
「この茶葉も、配下の悪魔がくれたのだ。甘いクッキーによく合う、少し苦味が立った紅茶なのだと言っておった」
「確かに、セイル様では知らなそうな知識です」
「お、オレ様は紅茶より酒が好きなだけだ!」
「ふふふ」
こんなにも和やかな午後を過ごしていていいのだろうかと思ってしまいます。
蒸らし終わった紅茶をティーカップに注ぎ、セイル様と私の前に置きました。
私は少しだけお砂糖を入れるのが好きですが、セイル様は何も入れずにストレートで飲むのがお好きなようです。
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