第6話 しあわせな毎日

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「ええい、もう良いのだそのような些事(さじ)は!」  セイル様は椅子から立ち上がり、私の前に立ちました。  いつもより少しだけ乱暴な手つきで私の(あご)を持ち上げたと思うと、あっという間に唇を奪われます。  驚きで薄く開いていた口に器用に舌が滑り込み、私の舌を絡め取りました。  セイル様の舌は、私のものよりも少し長いようで、私がどう頑張っても勝てません。 「んんー……!」  セイル様の胸元にしがみつきながら、必死で舌を絡めますが、セイル様の舌がさらに強く深く絡みついてきただけで、私はちっとも敵いません。  私はセイル様のことで精一杯なのに、セイル様にはまだ余裕があるようです。  塔の上の方に向かって、何やら手を振っていらっしゃるようでした。 「ふ、はぁ……っ」 「ごちそうさまでした」 「ご、ごちそう、さまでした」  私が背もたれに体重を預けて呼吸を整えている内に、ティーセットはセイル様の手によって片付けられていきます。  私が文句の付けようのない清潔さを保ってくださるセイル様は、まるで天使のようでした。 「それは、褒め言葉ではないぞ」 「申し訳ございません」
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