第7話 その頃、王城にて

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 リネットはカトリーヌを罵倒したことなどなかったが、それは問題ではない。  カトリーヌがどう受け取ったか。それだけだ。  他の侍女も働く中で、自分だけに細かな注意を何度も何度も繰り返されたこと。  リネットにとっては当然のことであり、リネットの元で働いていれば(おの)ずと理解できる主人の潔癖(けっぺき)さも、カトリーヌには理解できない。  全て、自分への嫌がらせだと受け取った。  そして、カトリーヌの思考はリネットから何もかもを奪い取るというところへ着地する。  手始めに婚約者を奪った。  リネットは王子と全く触れ合おうとしていなかったため、カトリーヌが素肌を(さら)して誘惑すればすぐに落とせた。
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