第1話 婚約破棄

5/6
前へ
/94ページ
次へ
 父と母は、私を助けようとは思わなかったようでした。  もともと、両親の愛情は兄に注がれていましたし、当然のことと言えます。  父の後を継ぐ、兄さえいればいいのでしょう。  私が王妃になれば、それはそれで利用したでしょうが、父の将来設計の中でさほど重要でなかったに違いありません。  父は、女を信用しておりませんし。  王子から婚約破棄を突き付けられてすぐ、私はビングリー家ではなくなっておりました。  家族の情よりも、家柄を優先する。  さすがですわ、お父様。  いえ、家族の情すら初めからなかったのかもしれませんけれど。
/94ページ

最初のコメントを投稿しよう!

101人が本棚に入れています
本棚に追加