第1話 婚約破棄

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 そこまでされれば、私が何を言ったところでどうにもならないのは明白です。  ですので私は、精一杯いつも通りに振る舞いました。  広がりもしないスカートを小さく(つま)み、(うやうや)しく頭を下げます。 「ごきげんよう、皆様。そして、さようなら」 「連れて行け!」  父も、母も、兄も、誰一人、私を見ておりませんでした。  なんて潔いのでしょう。  涙も出ませんわ。   それから手枷(てかせ)足枷(あしかせ)(はめ)められて、私は車輪の付いた(おり)のようなものに乗せられました。  見せしめのために街を練り歩きでもするのかと思いましたが、ご丁寧に檻の外側には幕が降ろされ、運ばれていく私の姿は誰の目にも触れませんでした。
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