第2話 隠された扉

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 とりあえず、身を清めましょう。  木箱とは反対側に井戸がありました。  自分で水を汲んだことなどありませんが、やらなければ汚いままなのです。  私は袖をまくり、縄を(つか)みました。  汲み上げた水は、想像していたよりも綺麗でした。  井戸に立てかけてある大きな桶をその水で掃除し、それからまた水を汲んで桶に溜めます。  塔の内部は外界と完全に隔離(かくり)されているそうで、魔術の使用は特に禁じられませんでした。  私が水を温めようと手のひらに魔力を集めると、それに呼応するように壁が光ります。  どうやら塔に対してなにか魔術を使ったとしても、それを全て吸収してしまうような術式が刻まれているようです。  別にそんなことをするつもりはないので、問題はありません。  私は溜めた水に手を突っ込み、お湯にします。  適当な温度になったところで、私は服を脱ぎ、身を清めました。  恥ずかしいなどと言っている場合ではありませんし、塔には私しかいないので、これも問題はありません。えぇ。
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