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私とブエル様が味について話していると、セイル様も混ざりたくなったのか焼き菓子を頬張り、やはり甘いなと顔を顰めていらっしゃいました。
ブエル様は何でも治すことができるそうで、またお世話になるかもしれません。
地獄にいる分には、怪我や心がすり減るようなことはなさそうですが。
ゆっくりとしたティータイムを堪能した後、次の予定があるからとセイル様は言いました。
来た時と同じ鏡の前に立ち、セイル様のお屋敷に戻るのかと思いましたが、鏡の向こうにはまた別の方が映りました。
精悍な顔付きをなさった褐色の男性で、お父様を彷彿とさせる豪奢な服を身に付けています。
「わぁ、マルティム様。ご無沙汰してます」
「ブエルか。相変わらずのようだな」
「はい。何かあればお呼びください」
「うむ。ではそこの二人を借りるぞ」
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