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学校が一緒だと知り、放課後は教室まで迎えに行って、あの場所へ向かう。
初めて会ったあの灯台で空や海に届けるように歌う。
それがいつの間にか習慣になっていた。
学校はつまらないけど、学校が終わったあとにはしあわせが待っている。
何にも縛られず、ただ自由に歌うことができる。
その時、わかった。
歌は、音楽は、
僕らにしあわせや喜びを与えてくれるものだということを。
そして、美しいものだと。これがいちばん大切だろう。
雨の音や波の音いろいろな音が''音楽''という名の芸術だということ。
音楽はこの世のいろいろな音が重なっていって、ひとつの歌となるんだ。
そう思うと、音楽は奥が深いなと考えさせられる部分もある。
「音楽って深いんだな。」俺はぽつりと呟いた。
「そうだね。」彼女は音楽の奥深さを知っているかのように
下を向いて答えた。目が潤んでいるようだった。
「唄夏は、音楽の奥深さを知っているのか?」
思わず聞いてしまった。
聞いていいのかわからなかったが、気になったんだ。
「知ってるよ。だから聞いてほしいの。私の過去の話。」
「あぁ。聞くよ。」
「ありがとう。」
彼女の過去は壮絶なものだった。
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