0人が本棚に入れています
本棚に追加
/7ページ
*
3年前の春。私はまだ小学4年生だった。
幼馴染の櫻華(おうか)と学校帰りにあの灯台で歌っていた。
櫻華とは小さい頃からの付き合いだった。
歌は私から誘って2人でやり始めた。歌う場所はずっと決まってた。
私たちの大好きなあの灯台と。あそこは北極星が綺麗に見える場所だった。
歌を始めてからは学校帰り。毎日のように行っていた。
ある日、私は灯台で櫻華を待っていた。
しかし、しばらくしても櫻華は来なかった。
その時、近くの道路で救急車の音が聞こえた。
そこには頭から血を流した女の子が倒れていた。
顔は見えなかったけど、あの服と星型のヘアピン。
あのヘアピンは私とおそろいのやつだ。そしてわかってしまった。
あれは櫻華だと。私は驚きを隠せなかった。
涙が止まらなかった。声をあげて泣いた。親友を失う辛さを知った。
しばらくは現実を受け入れられなくて、布団にこもることしかできなかった。
こんなことになるなんて誰も予想はしなかっただろう。
これが神様の定めた桜華の運命ですか?
信じたくない。こんな終わりであって欲しくなかった。
せめて、櫻華のために何かしてあげたかった。
歌だけじゃなくて、他にもいろいろやりたいことたくさんあった。
しばらく経ったある日、櫻華のお母さんに呼ばれて、
櫻華の家へと行った。
そこには1枚の画用紙と手紙みたいな封筒。
櫻華のお母さんは泣きながら言った。
「見てあげて。私もまだ見ていないの。」
「わかりました。」
画用紙を裏返すと、女の子2人がマイクを持って歌っている絵が。
それぞれの女の子の上には、うたかとおうかと書いてあった。
絵の中の2人は笑顔で楽しそうだった。
櫻華のことを思い出したら、また涙が出てきて止まらなかった。
しばらく泣いたあと、私はもう1つの封筒を開けた。
その中には手紙が入っていた。
桜華は字が小学生とは思えないほど綺麗だ。そして頭もいい。
手紙には涙のあともあった。それは櫻華の涙だろう。
泣きながらこの手紙を書いたのだとわかった。
手紙を読んだ。
その内容は…。
最初のコメントを投稿しよう!