第1章 唄の始まり

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* 3年前の春。私はまだ小学4年生だった。 幼馴染の櫻華(おうか)と学校帰りにあの灯台で歌っていた。 櫻華とは小さい頃からの付き合いだった。 歌は私から誘って2人でやり始めた。歌う場所はずっと決まってた。 私たちの大好きなあの灯台と。あそこは北極星が綺麗に見える場所だった。 歌を始めてからは学校帰り。毎日のように行っていた。 ある日、私は灯台で櫻華を待っていた。 しかし、しばらくしても櫻華は来なかった。 その時、近くの道路で救急車の音が聞こえた。 そこには頭から血を流した女の子が倒れていた。 顔は見えなかったけど、あの服と星型のヘアピン。 あのヘアピンは私とおそろいのやつだ。そしてわかってしまった。 あれは櫻華だと。私は驚きを隠せなかった。 涙が止まらなかった。声をあげて泣いた。親友を失う辛さを知った。 しばらくは現実を受け入れられなくて、布団にこもることしかできなかった。 こんなことになるなんて誰も予想はしなかっただろう。 これが神様の定めた桜華の運命ですか? 信じたくない。こんな終わりであって欲しくなかった。 せめて、櫻華のために何かしてあげたかった。 歌だけじゃなくて、他にもいろいろやりたいことたくさんあった。 しばらく経ったある日、櫻華のお母さんに呼ばれて、 櫻華の家へと行った。 そこには1枚の画用紙と手紙みたいな封筒。 櫻華のお母さんは泣きながら言った。 「見てあげて。私もまだ見ていないの。」 「わかりました。」 画用紙を裏返すと、女の子2人がマイクを持って歌っている絵が。 それぞれの女の子の上には、うたかとおうかと書いてあった。 絵の中の2人は笑顔で楽しそうだった。 櫻華のことを思い出したら、また涙が出てきて止まらなかった。 しばらく泣いたあと、私はもう1つの封筒を開けた。 その中には手紙が入っていた。 桜華は字が小学生とは思えないほど綺麗だ。そして頭もいい。 手紙には涙のあともあった。それは櫻華の涙だろう。 泣きながらこの手紙を書いたのだとわかった。 手紙を読んだ。 その内容は…。
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