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01. 教室
彩りのない高校生活は冴えない一人の男を
更にネガティブにさせていくものだ。
僕、緒方幸成は片田舎の街に暮らす
特に取り柄もないしがない高校2年生。
クラスの友達とはそれなりに話すが
何せ話題が噛み合わない。
何故なら僕が唯一、
人より秀でていることと言えば
おそらくこのクラスの誰よりも
マニアックなアニメや小説に詳しいことくらい。
そんな僕にだって
クラスには少し気になる女の子がいる
教室で窓側の席に座っているその女子は
いつも窓の向こう側ばかり見ていた。
何で外を見てるのか聞いてみたかった
でも内気な僕はとてもじゃないけど
話しかけられるわけがない。
それでも男子の友人と話すように
彼女と話してみたい、そう思っていた。
尾咲瀬里奈
彼女は日頃から何だかクールで
近寄り難い雰囲気を常に醸し出していた
「私に話しかけないで」
そんなオーラを発しているかのように。
話は変わるが、僕はイラストを描くのが好きだ。
授業中、こっそりと
教科書にパラパラ漫画を描いたり
ノートに友人の似顔絵を描いていた。
クラスメイトの一人がそれを見つけて
やたらと絶賛されたことで
僕はクラスの中でそれなりに
存在感を示せているような気になっていた。
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