02. 約束

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ー 私、お芝居とか好きで・・・ 「将来、舞台とか出てみたいんだ」 「へえ、凄いね!それじゃ…」 「何?」 「別々の夢だけど、一緒に追いかけてみない?」 「緒方くんの夢って・・・何?」 「俺は将来イラストレーターとか漫画家を目指そうかな、って」 「それって…私があの時…?」 「そうだよ、あの時の言葉が俺の背中を…」 「そうかぁ、ステキな夢じゃない!私もがんばってみようかな」 放課後、誰もいない教室で 僕たちはそんな約束を交わした、 愛情も慕情もない異性の友人同士で。 そして迎えた卒業の日 「お互い夢を叶えたらまた再会しようね」 それが瀬里奈から告げられた 最期の言葉となった。 数年後、僕がある漫画家のアシスタントとして 小さな夢を叶えたその日 瀬里奈は自ら命を絶ってこの世を去った " 窓の向こう側を見に行ってきます " 彼女が飛び降りたビルの窓際には そんな一言をしたためた 紙切れが残されていたと言う。 その紙の裏側に僕があの日描いた 瀬里奈の後ろ姿のイラストがあったことなど 当然ながら僕が知ることはなかった。 詳しいことは何ひとつわからない ただ彼女の居場所は窓の向こう側、 だったのだろう。 彼女は窓の向こう側に・・・ 一体何を見ていたのだろうか? そんなにまでして見たい景色が そこにはあったのだろうか? 彼女は本当に "窓の向こう側"へと行ってしまった そしてもう戻ってくることはない。
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