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窓の向こう側は
いつでも夢や憧れに溢れている
そこにはきっと見たこともない景色が
広がっていると思い込んでいるだけで
何も変わりはしないはずだ。
でもそこに踏み出した時、僕たちはもう
そこから戻れないことを知るだろう、
それが大人になることだと知らないままに・・・
今、僕の部屋には後ろ姿ではない
正面からの瀬里奈のイラストを描いて飾っている
きっと彼女がそれをどこかで見てくれている
そう願いながら・・・
「尾咲さん、そっちで夢を叶えたらいつでも…
ここに遊びに来ていいからね」
今頃、彼女は空の上で何をしてるんだろう?
きっとあの頃みたいに
窓の外を眺めてるのだろうか?
だとしたら、あの日の教室のように
また瀬里奈と
とりとめのない会話をしてみたい。
僕も瀬里奈も今は戻ることの出来ないあの頃
その思い出は全てあの窓の向こう側に置いてきた
記憶を上書きして過去を忘れる、
それを大人になると言うのだろうか?
などと思っている僕もまた
過去にすがらなければ生きていけない
人間なのだろう。
あの日、瀬里奈は言っていた
"ここが私の居場所"
ならば僕の居場所はどこだろう?
この窓の向こうか?
窓の内側なのか?
その答えはきっと誰も知らない。
答えを知った者だけが窓の向こう側に
旅立つのだろう
瀬里奈のように・・・
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