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「なんで、いきなり『別れる』なんてさ。ずっと帰ってなかったでしょ? 俺のこと、そんなに嫌いになった? それとも好きな人ができて、そっちに行っていたとか?」
「ふざけないで、友達のとこに泊ってただけ」
私だって寂しかった。一人でいたくなかったもの。
あの日のうちに泣きながら親友の家に押しかけて、二日も泊めてもらってた。
少しだけ気持ちが落ち着いて帰ってきたというのに、どうしてまた搔き乱すの?
「俺だって納得できないよ、どうして突然なの? 誕生日、キッチンにケーキがあった! 買ってきてくれたんでしょ?」
モニター越しの彼は夜中だというのを気にして声は抑えめだけれど、真剣な眼差しをしていた。
「だったら……、どうして浮気なんかしたの?」
「え? 俺が、浮気?」
「そうだよ。誕生日にあなたの部屋にいた女の子、誰なの? 白いワンピースを着た髪の長い赤いハイヒールの子。大学の同級生? 後輩? あなたにキスしてたじゃない!!」
「……知らないんだけど……、何それ?」
彼の目が見開き、縋るように歪む。
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