犬系彼氏

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 彼の背後、ゆらりとまるで貼り付く影のように現れた。  白いワンピースに髪の長いあの時の女!   いつからそこにいたのだろうか?!   彼の後ろからモニターを見て挑発的にニヤリと笑った。 「ひっ」と息を飲むほどに真っ黒な目をした女に彼は気付いていない様子。 「う、後ろっ」  金縛りのようになった私の声が出た時には、彼の首に縄をかけた女。  ギリギリと締め上げられて、苦悶の表情に歪んだ彼は沈み込むようにモニターから消えた。 「うちのワンコがお邪魔をしました」  嬉しそうに笑ってペコリと私に頭を下げた女はそのままモニターから消えた。  震えながら辿り着いた玄関のスコープ越しにはもう誰もいない。  チェーンをして少しだけ開けたドアの向こう。  ズルッズルッズルッ、カツンカツンとヒールが遠ざかる足音がした。
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