2章

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【side  琉生】 兄貴の所から戻った俺は、真っ直ぐキッチンに向かった。 俺が兄貴の家に行ってから2時間近く時間が過ぎている。 流石にもう片付け進んでるだろ。 そう思ってリビングのドアを開け、対面キッチンに目を向けると……惨状は相変わらずのままだった。 マジかよ…… 俺も、美琴同様昼はサンドイッチで済ませた。 流石に夕飯までコンビニに頼るのはなぁ。 どうしたもんかな。 少し考えてから2人に近付き、声を掛ける。 「俺腹空いたんだけど」 その一言で、親父と柚月さんの動きがぴたっと止まる。 「昼は片付け優先して貰おうと思って声掛けなかったけど、夕飯……家で食えんの?もしかして出前とかになる?それならそれで仕方ないけど、俺皆と飯食えるの楽しみにしてたんだけどなぁ」 父子家庭で育ってきたけど、出前なんて今まで一度だって頼んだことない。 親父がいつもちゃんと飯作ってくれてたからだ。 まあ、オーナーになってからは忙しくて、流石に毎日は無理でも作れる時は作ってくれていた。 親の務めとかそういうのもあるだろうけど、やっぱり料理人としてのプライドもあるだろう。 きっと今の言葉は、料理研究家の柚月さんにも響いた筈だ。 そしてもう一押しする為に言葉を続ける。 「あと、俺お義母さんの作った飯も凄い楽しみにしてるんだよね!」 「お、お義母さん!?……潤くんっ!琉生くんが私の事『お義母さん』て呼んでくれたぁ!やだっ、どうしよう!凄い嬉しい!」 「うんうん!家族らしくて良いよね!俺も、美琴ちゃんに『お義父さん』て呼ばれたいな。……呼んでくれるかな?」 キッチンの片付けに、議論と拘りをぶつけ合ってたふたりの意識を、違う方に持っで行けたのは良かったけど…… 美琴に負荷を掛けてしまったようにも思う。 すまん、美琴。 親父の奴、期待で目がキラッキラっしてるわ……
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