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「あのっ、ね…あの、私…琉生のこと…す、好きなのっ!」
赤い顔をした女子が、緊張と共に、自分の想いを、向かい合う男子に告白する。
あの子…が誰かは分からないけど、琉生って、うちのクラスの暁 琉生よね?
あんまりちゃんと見た事ないけど、学校一イケメンでチャラい男。
毎日大勢の女子に囲まれて……騒音撒き散らす連中の中心人物…という位の認識でしかないけれど、誰にでもいい顔するこの男は、私が最も嫌いな人種には変わりない。
見る目ないな、この子。
この男の何が良いって…顔でしょ?
顔が格好良いから好き?
見た目だけに釣られるなんて、バカみたい。
まあ、私には関係ないけどね。
「俺も惠美ちゃんのこと好きだよぉ〜」
真剣な告白を受けた側、とは思えない程の軽いノリでそう答える暁 琉生。
「じゃ、じゃあ!琉生、私と付き合ってくれる?」
『好き』と返された事に自信がついたのか、そう続けて話す女子。
「ごめんねぇ、俺今は、彼女作る気ないんだよねぇ」
謝りつつも、先程とあまり変わらない軽いノリで返す暁 琉生に、
「ど、どうして?私のこと好きって…言ってくれたのに」
納得がいかないと言わんばかりに、詰め寄る女子。
「どうしてって言われてもねぇ、俺の好きは恋愛感情じゃないから…かなぁ?惠美ちゃんは可愛い子だと思うよぉ~……でも、特別な感情はないよ」
最後の言葉だけは、はっきりとした、拒絶を表しそう言った暁 琉生。
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