モノクローム

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今、人生のターニングポイントとなるだろう大きな決断をした私は、久しぶりに心が晴れ晴れとした。 このギャラリー展と別れるのは淋しいけれど、始まりがあれば終わりがあるのは自然の摂理で、だからこそ大切な時間となるのだろう。 私達が求める創造の世界は、永遠に終わりがないのかもしれない。 自由な世界とは、自分が作り出す世界だから。 「ありがとうございました」 閉館時間。 男性は私をギャラリーの外まで送ってくれると、淡々とした口調で御礼を言った。 「あの、一つ聞いてもいいですか?」 どうしても聞きたかった、聞きそびれた事。 「あの絵は、どういう気持ちで描いたんですか?」 私が尋ねると、男性は眼鏡をクイッと上げると、目を細めた。
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