モノクローム

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だけどあの人も、この絵が好きなんだろう。 よく見ているから。 この絵の素晴らしさを一緒に語り合いたいような気もするけれど、孤独を纏っているようなあの人とは、そんな事できないんだろうな。 まぁ、いいや。 少しだけ気分を害したが、そんなのこの絵の前では滲んで消えて行く。 色とりどりに規則正しく並べられたり、不規則に散りばめられたり。 私は、この歪なところが好きだ。 均等に形や色が整っている絵も、それはそれでとても美しいと思う。 だけど、この絵は左右非対称で、上部と下部にはまた別の世界というのだろうか。 光と陰が感じられる。 こんなにも色彩は豊かで、そして美しく、切なくて。 キラキラと輝く世界と、バラバラになって消えていく世界が相まみえるような、この絵が好きだ。
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