第一章 鬼の集落

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「おせーぞ」 「そ、ソライ!」 暗く冷たい檻の中にいたのは黒髪黒目が印象的な人間の少年、ソライであった。 「おら入れ!」 「おっと」 鬼に投げ込まれ、ジャンはソライに当たらないように体をひねって受け身を取った。 「いったいなぁ」 がしゃんと重い音がして鍵がかけられる。鬼の背中が見えなくなってからジャンは檻に触れてみる。 「頑張ったら出られそうだね」 「いや、無理だ」 「えっ?」 ソライはくいっと顎で隣を指した。ジャンが見ると、別の檻にアリアとアンがいた。 「アリア! アン!」 「やっと、目覚めたか、この、馬鹿」 憎まれ口を叩くアリアだったが、珍しく息が上がっており途切れ途切れに話している。目を凝らすと汗が金色の髪からしたたり落ちている。 「どうしたの?」 「アンが馬鹿して回復魔法しまくってた」 「悪かったってぇ」 隣では深緑の短髪と瞳を持つ青年――アンが胡坐をかいてしょぼんとしている。 「なにしたの?」 「いや出れそうやなと思って檻ぶち壊したら雷と水のダブルコンボ。さすがに死ぬかと思ったわ」 「てことだ」 ジャンは座ったままの話すソライを見下げた。 「無理やり出ようとすると罠が発動する」 「そりゃまぁご丁寧に。死ぬにはいい具合に強いぜ。人龍だから耐えれたが普通は即死だ」 「正直めっちゃ体が弱っとるわ」 「魔力使いすぎてオレも疲れた」 アリアがはぁとため息をついた。エルフの魔力はだいたい人間の十倍。魔眼を破った後だとしてもそれが枯渇気味だなんて、どれほど危ない状況だったのか。 「てかよくそんなに早く魔眼を見破れたね」 「ソライが早かったよな」 「そん次がアリアで俺。そんでジャンや」 「アヴェルスは……」 「多分ここにはこない」 断言したのはアリアだった。
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