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彼女の言葉に呼応するように純白のドラゴンは一度羽ばたいた。
一気に高度を上げ、深い夜空に吸い込まれていく。僕の乗るドラゴンもその跡を追うように翼を動かした。
彼女にはきっと、僕には見えないものが見えている。
そんな風に思った。
ドラゴンハンターとして過ごしてきた僕にとってドラゴンはただの獲物で、どう効率的に狩るかということばかり考えていた。きっと周りの仲間もそうだ。
ドラゴンは美しい。
そんなこと、言われるまで気付かなかった。
「君は……サクサは昼間も飛んでるの?」
「ううん、みんなが起きてる時間にドラゴンが飛んでたら怖がらせちゃうでしょ。それで攻撃されても嫌だし。昼は湖で魚釣って過ごしてるよ」
「暇なんだな」
「悠々自適と言って」
彼女の後ろ、ずっと遠くの空で星が流れる。
あの星の行方を見つけに行きたいと僕はそう思った。
「もし良かったら、僕も明日湖に行っても良いかな」
もっと話を聞かせてほしい。
彼女が見ている、僕の見ていない世界の話を。
「いいよ。暇だから」
そう笑う彼女と僕を乗せて、二頭の美しい竜は煌びやかな星空をどこまでも切り裂いていった。
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