立春

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 確か今年度の大体の予算があるはず。 それに見合うことをしないと来年度の予算にかかわってくるのかしら、と。 「そうなのよねぇ。予算が余ったら削られるかもしれないし……。」 「なら、ちょっと高価なものでもいいじゃないですか。」 「そぉ? じゃあ、あなたにその係をお願いしてもいいかしら? 」 森田にそう言われてびっくりする華子。 そうきたかー、と頭の中で思った。 その為に私に相談したのか。 「……何人でしたっけ?今年は。」 「あのね、卒業生は、全員で8人よ。」 ここは田舎なので児童が少ない。 8人ならばプレゼントとあと花束をつけてもいいかもしれない。それから在校生からの色紙とか。華子は考えた。 「おい、森田さんよ、華ちゃんばっかりに頼んじゃ気の毒だよ。」  口出ししてきたのは、この田舎でも世間師で有名な徳宗さんだった。年齢はとうには70をいっている。  彼がこの子供教室の長と言っても過言ではない。市役所への書類など難しい処理をしてくれているのは彼だ。 華子には分からなかったが、色々とこの教室を興すときの許可をとることはとても大変だったらしい。 「1人じゃ負担かしら? 」 森田が言った時だった。 カラリ、と音がして部屋の扉がひらいた。 「はーい! お茶わかしておきましたよー。ここに置いときまーす! 」 1番歳の若い鈴木が部屋へ入ってきた。手には大きなヤカンが握られていてとても重そうだ。 子供たちは、暖かくなってきたこの頃よく水筒を空っぽにしてここへくる。なので毎回、センターの台所をお借りしてお茶を沸かすのだ。 「ありがとう。鈴木さん。」 「いえいえ。」 「あ! そうだ! 鈴木さん良かったら華ちゃんと買い出しに言ってくれないかしら? 」 唐突に森田が言った。 「はい? どういう事でしょう? 」 「今年の卒業生へのプレゼントよ。毎年何か考えて渡してるの。」 「あー。別にいいですよ? 」 あっさりと了解した鈴木。 華子は驚いた。 鈴木は、まだこのボランティアになってから日が浅く内情を知らないはずなのに。
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