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その時強い光が溢れました。気分は歯医者。もしくは女優ライトです。
そして再び目をあけると、そこには。
筋肉隆々ダブルバイセプスを決めて体にはヒーローのマントとハーフパンツ。足に下駄とピンクのペディキュア。横腹にのぞくトマトの入れ墨に爪楊枝の国旗をそっと生やし。桃の産毛を取るための手袋とミキサーをもった。
リーゼント頭の鳥肌がいました。
『いたのか人生見切り発車!』
そのリーゼント頭で人生見切り発車を発見。どうにか追いついたようです。出てきたそいつは次々とボディービルのポーズをきめていました。嗚呼麗しき大胸筋。桃が恐る恐る近寄ります。
「お前、なんなんだ。」
「ピーチマークスっす。肉食べるベジタリアンです。」
「桃を調理するそれはなんでもってる?」
「婆さんの想像を忠実に叶えた結果っす。」
「おい!婆婆やっぱり食う気だったんだな!?」
なんか桃が騒いでいますが、私には関係のないこと。
「何がお前にゃできるんだい?爆発は止められるのか?」
「まあ。やる気出せば秒で。」
「じゃ、頼んだよ。夕飯はハンバーグの桃シロップがけだから。」
「せめて桃を主役にしやがれ。」
鶏が呆れたように私達を見ています。
「結局お前らの願いってこんななのかよ。」
「いや、俺の想像は…まだ叶えられてない。」
桃は私から逃げつつ答えました。
それから3日後。
「世界は突如柚子胡椒の噴火に寄って祭りになっています。近隣住民の方々はくれぐれも美味しくいただこうとしないでください。」
ラジオから流れる平凡なニュース。ちょっと世界を救った私の家には。
「取り敢えずチャンネル登録か。婆さん!昼飯は赤飯とメシがいい。」
「俺、オーガニックのカップラーメンしか食わないっす。」
桃とピーチマークスが居座っていました。
温厚な私は、天地逆鉾を振りかぶってほほえみました。
「出ていけ桃型非常食兼疫病神共!!」
「嫌だ!俺の願いが順風満帆NEET生活だからな!」
爺さんが拾ってきた桃は今も我が家を狭めています。
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