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「最近お前が碁盤の目みてえになっているのは、切りやすいようの目安じゃなくて腹筋か。」
「尊敬すべき婆婆野郎。俺の言葉を繰り返せ。『桃は友達。餌じゃない。』」
「桃はトルティーヤ。エスプレッソ。」
「くいもんと飲みもんを一緒に準備するなハッピーセットか?」
言葉のドッチボールをしたあたりで、誰かが家の前のブブゼラを高らかに鳴らしました。
「はいってもいいかい。婆さんや。」
「爺。合言葉は?」
「ミレニアム」
「ファミコン」
「帰れ。」
締め出すと、通気孔から侵入してきました。やつが…爺がねずみ小僧の子孫の株主だったことを忘れていました。なんたる失態。
「世界が若干消滅しそうなんだが、どうする?」
「この前消滅しかけた時は、紅茶キノコでどうにかなっただろ。」
「もう紅茶キノコは通用しないね。各地で爆発も起きている。」
「ラップしたら爆発は起きるんだよ。当然だろ?」
すると爺は首を振りました。
「俺の新しい彼女によると、爆発はイヤホンとスマホの接続部分から発生しているらしい。
……このままだと、全人類のイヤホンが使用不可になる。」
「ASMRがぁっっっ!!!」
その時桃は立ち上がった。それはもう激しく茎を蠢かせ必死の形相。これほど顔は、前の人が落としていったちょっと高めの財布を拾って渡しに行こうとするときくらいしか見れないものでしょう。
「よく断線するから、怪しいとは思っていたがやっぱりか。」
「お前はよくゴリラの歯ぎしりと川のせせらぎをRemixして聞いているものな。」
「ああ。俺から音楽を奪えば、不眠症が治っちまう。」
私は礼儀正しくおじいさんにチョークスリーパーを食らわせながら桃に言いました。
「どうするかい?救っちまうかい?世界。」
「救うしかないか。爺さん。敵はどこにいるんだい?」
爺は私にアイアンクローをかまされながら重々しく答えました。
「新宿…歌舞伎揚げ町 9と4分の3番街だ。たどり着くには、柱をすり抜けることだな。」
なんと。敵は夜の街を遊び歩く魔法使いだったようです。
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