ビックチキンハート

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ビックチキンハート

 「魔王ってことは……イヤホンの接続分で不労所得してる奴だな?」 さすが桃。理解が早くて迷走しています。鶏は足を組むと嘴を鳴らしました。 「してねえよ。爆発はさせたけど」 「俺の常識人キャラを取るな鳥。」 「お前から常識と品性と覇王色の覇気は感じたことないぞ桃。」 「なんだと母刀自殿(ばばあ)俺は覇気小出しタイプだ。覚えておけ。」 「だけれども、どうして爆破させたんだ。」 「接続詞どうしたんだよ婆さん。いきなり回したこと忘れてたパス帰ってきて足つりかけたぞ。」 鶏は空高く飛びながらそう言いました。声がえらく低いイケボなので猿渡さんはついついマイクを口元に持っていきたくなる所存。きっと今日の動画のタイトルは『えのき鶏焼いてみた』 「ま、いっか。 俺がイヤホンの接続部分を爆発させたのはな。この世界の概念がつまんなくなっちまったからだよ。 どこ行ったって見たことがある『異世界』か『現実』の世界ばかり。それは人気もでるし、わかりやすいよな。変わり種が成功しづらいから、いつしかみんな同じような世界の中を生きてる。 だけど俺は、もっと自由がいい。 無茶苦茶な、馬鹿げた、意味のないそんな概念の世界がもっと欲しいんだよ。魔王が鶏でもいい。桃が喋ってもいい。 一回全部リセットしたくなった。その気持ちを抱えたままトイプードルとお昼寝しつつ、売れかけのVt○berにスパチャ投げて…爆破したんだ。」 「お前の情緒どこに忘れてきたんだよ。4軒先のお隣か?」
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