少年編16

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少年編16

結局この日は海水浴というより日光浴になってしまった。 さわやかな夏の日差しを浴び、たわいもない会話の途中で時々大笑いしては一家団らんを満喫した。 そして午後の3時過ぎには帰宅の途についた。 もちろん隆一の運転で、行きしなと同じくあとの二人は後部座席で船こぎ爆睡モードだったのは言うまでもない。 隆一はバックミラー越しにそんな2人を眺めながら、あの事故が大事に至らなくて本当に良かったと、あらためて思い返した。 時は流れて2年後。 前田家にはこれといって大きな出来事もなく、平和な日々が続き、平々凡々な家庭で隆司は自由奔放にスクスクと育っていった。 近頃は幼稚園にも通いはじめ、友達もできて、充実した園児ライフをおくっていた。 そんな友達の中に、他の子とは違う感情を抱いてしまう子が1人だけいる。 その子は佐藤薫ちゃんという女の子で、隆司と同じうさぎ組のマドンナ的存在だ。 清楚で気品があり、実家は代々続く開業医、習い事もセレブの四種の神器であるピアノに華道に茶道にクラシックバレエと筋金入りのお嬢様。 3時のおやつはいつもどこぞの有名店のスィーツなどが出てくるような、前田家とは比べものにならない上流階級の家柄だった。 そんな子に密かな恋心を抱いてしまったのだ。 普通なら問答無用で撃沈してしまうところだけど、以外や以外にもそのお嬢様の取り巻き連中から話は大きくなり、親友までも巻き込んで彼女との関係が深まっていくこととなる。
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